骨粗しょう症とは

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骨粗しょう症は、骨が弱く、もろくなってしまう疾患です。骨粗鬆症の患者さまでは、ちょっとつまずいて手をついただけで手首を骨折、転倒して太ももの付け根を骨折、肩から落ちて腕を骨折などしるようになります。
さらには重いものを持ったり、くしゃみをしただけで背骨や肋骨を骨折することも起こります。
また知らないうちに骨折をしている「いつのまにか骨折」が引き起こされている場合もあります。

「背中や腰の痛みが長引いている」「最近、背中が曲がってきた」「背が縮んだ気がする」というような症状がある方は、骨粗しょう症による「いつのまにか骨折」が隠れている可能性があります。

こうした骨折を加齢のためなどと思って我慢し放置してしまうと、周囲の骨にも負担がかかることになり、連鎖的な骨折が起こる危険があります。
また脊椎の圧迫骨折や大腿骨近位部の骨折などは、歩くことに影響が出て歩行が困難になり、いわゆる寝たきり状態を誘引して要介護状態となってしまうリスクもあります。

こうした重篤な状態になることを防ぐためにも、骨粗しょう症の早期発見、早期治療が重要です。
その疑いのある方は、一度ご受診の上、検査を受けておくことをお勧めします。

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因としては、「骨量(骨密度)」や「骨質」が低下することにあります。
「骨量(骨密度)の低下」ということで言えば、古くなった骨を壊して吸収するということと、新しい骨を生み出すという細胞の働き(新陳代謝)のバランスが崩れ、骨を壊す細胞が強くなってしまうことが原因と考えられています。

骨粗しょう症では、女性の患者さまの比率が非常に高くなっており、80歳以上の女性では、2人に1人が骨粗しょう症であると言われています。
これは骨の新陳代謝に関わっているエストロゲンという女性ホルモンが、閉経に伴って分泌が減少することで、骨粗しょう症のリスクが高まるためといわれています。

骨の体積の約半分はカルシウム、残りの約半分はコラーゲンでできています。
骨を「鉄筋コンクリート」にたとえると、コンクリートにあたるのがカルシウムで、鉄筋にあたるのがコラーゲンです。
通常、骨密度の検査で調べられるのはカルシウムの量ですが、鉄筋であるコラーゲンも、骨の強度に深く関わっていることが分かっています。

コラーゲンが劣化することでも、骨粗しょう症が発症すると言われており、これがいわゆる「骨質の低下」です。
コラーゲンの劣化を促進する要因としては、食生活などの生活習慣の乱れ、喫煙であることが分かっています。
さらに骨粗しょう症が、糖尿病や動脈硬化と併発する場合も多くみられます。
近年、男性での骨粗しょう症が増加傾向にあるのは、コラーゲンの劣化に原因があると考えられています。

骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症の検査は、骨密度の測定によるものが一般的です。
検査の方法としては、以下のような種類があります。

DXA(デキサ)法 2つの異なるエネルギーの微量のX線を利用し、その透過度をコンピュータで解析し、測定するものです。主に大腿骨近位部や腰椎の骨密度を正確に測定します(全身に用いる場合もあります)。
超音波法 かかとや脛の骨に超音波を当てて測定するものです。X線を用いないため、妊娠中の方でも測定することができます。
MD(エムディ)法 X線により、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度の比較により測定するものです。

この他の骨粗しょう症に関する検査としては、圧迫骨折などの有無を調べるレントゲン検査やMRI検査があります。
また骨の代謝状況を調べるため、血液検査や尿検査での骨代謝マーカーなどを実施することもあります。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症は、「骨の生活習慣病」とも呼ばれるもので、その症状の改善には、食習慣や運動習慣の見直しが大切になります。

食習慣の見直しでは、カルシウムおよびカルシウムの吸収を促進するビタミンD、ビタミンKなどの栄養素を取るよう心がけます。
また、たんぱく質も不足がちになると骨密度の低下を招きます。
乳製品や野菜、肉などをバランスよくとっていくことが重要です。

また骨粗しょう症の改善にあたっては、運動習慣も大切です。
骨は負荷がかかるほど骨を作る細胞が活発になります。
日常生活の中で、無理のない範囲での運動をするようにしましょう。

ただし、すでに骨粗しょう症が進行している方は、無理な運動で骨折してしまう危険があります。
必ず医師にご相談の上、行うようにしてください。

こうした生活習慣の改善を基本に、薬による治療を併せて行っていくことが大切になります。

骨吸収を抑制する薬 女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスフォスフォネート製剤など
骨の形成を促進する薬 活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチド(副甲状腺ホルモン)など
骨の主要な成分となる薬 カルシウム製剤

これらの薬剤には、飲み薬や自己注射するもの、また毎日服用のものや1カ月に1度の投与でよいものなど、様々な種類があります。
当院では、患者さまの症状やその進行状況、またご希望にあわせて治療薬を組み合わせ、処方していきます。