ロコモティブシンドロームとは
ロコモティブシンドロームは、運動器症候群と呼ばれ、ロコモと略されることもあります。
英語で移動することをロコモーション(locomotion)といい、移動するための能力があることをロコモティブ(locomotive)ということから名付けられたものです。
これは歩くなど移動するための能力が、運動器の障害等により、低下したり衰えたりする状態を指す言葉です。
高齢化が進む日本では、運動器の障害が、要介護状態となってしまう大きな原因となっており、厚生労働省の調べ(平成25年)では、要介護状態となる原因の36.1%(要支援1では52.1%、要支援2では49.6%)を運動器の障害(「高齢による衰弱」、「骨折・転倒」、「関節疾患」など)が占めています。
ロコモティブシンドロームの原因
要介護とならず、生活の質を落とさないためには、このロコモティブシンドロームに留意しておく必要があります。
ロコモティブシンドロームを引き起こす原因としては、加齢および運動器の疾患によって起こる運動器の機能の低下が挙げられます。
加齢による影響としては、体力の衰えや、手足や体幹の筋力低下、筋肉のこわばり・萎縮による関節可動域の制限、関節や筋の痛みなどが運動器の機能低下を引き起こします。
また機能低下の原因となる運動器の疾患として挙げられるのは、変形性関節症、骨粗しょう症、関節リウマチ、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症などがあります。
また骨折などのケガ、脳卒中などによる四肢・体幹の麻痺、さらには腰痛、肩こりなども原因となり得ます。
こうした原因によって、立つ、歩くなどのためのバランス感覚や、指先の動き、運動速度、反応時間など様々な動作や作業をするための機能が衰えていくと、やがてトイレや着替え、入浴などの日常生活にも支障が出て、介助が必要になっていってしまう場合もあります。
すると外出することも苦痛になり、家に籠るようになることで、さらに運動機能が低下していくという悪循環に陥ります。
運動器の機能低下を防ぐことは、健康寿命を延ばすためには、非常に重要なことになります。
以下のような場合、ロコモティブシンドロームが疑われますので注意が必要です
- 片足立ちになって靴下が履けない
- 家の中でつまずいたり滑ったりすることがある
- 階段を上るとき、手すりにつかまる必要がある
- 少し力がいる家事をすることが難しい
- 2㎏程度(牛乳の1リットルパックが2個など)の買い物を持ち帰るのが難しい
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれないときがある
上記のような日常での問題は、骨や関節、筋肉などの運動器の衰えのサインです。
一つでも当てはまる場合は、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の心配がありますので、一度ご相談ください。
ロコモティブシンドロームの治療および予防
ロコモが疑われる場合は、まず運動機能の低下の原因がどこにあるのかを診断し、疾患などがあればその治療をしていくことなどが重要になります。
ロコモは単純に一つの原因にとどまらず、病気や加齢、痛みや生活習慣など様々な要因が絡み合って引き起こされることが少なくありません。
当院では患者さま一人一人の状況に合わせ、運動器の疾患があれば、それをしっかりと治療し、さらにリハビリテーションを行って運動器の機能回復を図り、ロコモの進行を遅らせ、要介護状態になってしまうことを防いでいきます。
また当院では、リハビリテーションの一環として、ロコモが進行しないよう、予防のための簡単なトレーニングなども、患者さまに合わせて指導していきます。
リハビリやトレーニングによる機能改善によって、健康寿命は延ばしていくことが可能です。
まずはお気軽にご相談ください。